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「遥かなるルネサンス」(東京富士美術館・八王子)|4人の少年がみたイタリアのルネサンスと陶磁器

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先日、現在東京八王子の東京富士美術館で開催中の「遥かなるルネサンス 天正遣欧少年使節がたどったイタリア」展に行ってきましたので、その見どころをご紹介したいと思います。

出典:東京富士美術館ホームページ

 

初めてヨーロッパに渡った日本人

「日本にキリスト教を広めたのはイエズス会だった」と学校で習った記憶があると思いますが、天正7(1579)年、イエズス会の巡察師として来日したアレッサンドロ・ヴァリニャーノ(Alessandro Valignano)は、日本人信徒の育成に非常に熱心に取り組んでいました。そして、日本での布教活動の成果をポルトガル王とローマ教皇に伝え、西洋の文化を日本に伝えるために、日本人使節団のヨーロッパ派遣を計画します。その使節に選ばれたのは有馬(現在の長崎県島原地方)のセミナリオで学んでいた4人の少年たちでした。

出典:Wikipedia(アレッサンドロ・ヴァリニャーノ)

伊東マンショ、千々石(ちぢわ)ミゲル、原マルチノ、中浦ジュリアンの4人の若者がイタリアのリヴォルノ(Livorno)に到着したのは、長崎を出てからなんと3年余りの月日が経過した1585年の3月の事でした。

出典:Wikipedia(天正遣欧少年使節)

彼らが再び日本に戻るのは天正18(1590)年。しかし帰国した彼らを待っていたのは旅よりも厳しい状況で、母国日本では、1587年豊臣秀吉によってキリスト教禁教令が発布されていたのでした。

「天正遣欧使節団」は5か月の間イタリアの各地を巡り、歓待を受けました。今回の展覧会は日本人で初めてヨーロッパを見た彼らの足取りを美術品と共に追っています。

 

フランチェスコ1世とメディチ磁器

少年使節団をイタリアで一番初めに出迎えたのは、トスカーナ大公フランチェスコ1世(Francesco I)でした。1585年3月、彼らは当時フランチェスコ1世の住まいだったベッキオ宮殿や郊外のメディチ家の別荘に招待されたそうです。フランチェスコ1世と言えば、ヨーロッパで初めて磁器を作ったと言われています。今回この展覧会にその大公の工房の磁器が出展されています。

出典:Wikipedia(フランチェスコ1世)

 

聖マタイによる福音が描かれた水盤(1575-1587)

全体が青一色で絵付けされ、中央には聖マタイが描かれている。また会場ではちょっと見にくいのですが、裏面の高台内には、一部破損していますが、メディチ磁器だけについているサンタ・マリア・フィオーレ大聖堂のクーポラとFの文字を確認することができます。大公の磁器と確認されているものは、不完全な状態のものを入れてもたったの62点しか現存していません。日本で見られる貴重な機会です。

出典:「遥かなるルネサンス」展覧会カタログ(聖マタイによる福音が描かれた水盤)

 

ファルネーゼ家の皿

フィレンツェを出発した一行はローマへと向かいます。途中カプラローラ(Caprarola)ではアレッサンドロ・ファルネーゼ(Alessandro Farnese)枢機卿に熱狂的な歓待を受けます。アレッサンドロ枢機卿はこの時代、最も力の有った芸術家のパトロンでした。彼の紋章が入った素晴らしい皿が展示されています。

各皿の中央に、枢機卿の帽子共にファルネーゼ家の紋章が描かれ、その周りを星形の花が囲んでいます。皿の縁には花模様の綱が広がり、濃い青の地に金が非常に引き立っています。この装飾は、金をすごく小さな粉にして、釉薬を使って張り付けたもので、もともとガラスで使用されていたやり方で、豪華さを引き立てています。

出典:「遥かなるルネサンス」展覧会カタログ(ファルネーゼ家の皿)

これらはアブルッツォ州のカステッリ(Castelli)で作られてものと考えられています。ナポリのカポディモンテ美術館所蔵で「トルコブルーのマヨリカ」と称されるアレッサンドロ・ファルネーゼの食器セットの一部です。

ファルネーゼ家は16世紀、中部イタリアのマヨリカ焼きの工房にとってはかなりの上客で、カステッリデルタ(Deruta)、ファエンツァ(Faenza)などの陶工に数多くの作品を注文しました。

 

ラファエロのデザインの皿

ローマに到着した少年たちはローマ法王に謁見します。若者たちは教皇グレゴリウス13世の前で、君主から預かって来た親書を堂々と読み上げたと言われています。その後70日にも渡ってローマに滞在し、色々なものを見て回り、貴重な体験をしたようです。

会場には「ガラテアの凱旋の描かれた大皿」(1550-75)が出展されています。

出典:「遥かなるルネサンス」展覧会カタログ(ガラテアの凱旋の描かれた大皿)

これは当時すでに最盛期を迎えていたマヨリカ焼きのイストリア―トという装飾で、1511年にルネサンスの3大巨匠の一人、ラファエロによって銀行家アゴスティーノ・キージの所有するローマのヴィラ(現ファルネジーナ宮)に描かれたフレスコ画を参考に描かれたものです。もしかしたら使節の面々もこのフレスコ画を実際に見ていたかもしれません。

出典:Villa farnesia.it (フレスコ画)

製作を手掛けたのは、ラファエロの生地、ウルビーノ(Urbino)のフォンターナ(Fontana)の工房です。フォンターナ工房は、ラファエロの構図を陶器に転用する最も優れた工房として活躍していました。

 

この展覧会では陶磁器の数はそれほど多くは有りませんが、どの作品も日本ではなかなか見ることができない非常に質の良い、珍しい作品ばかりでした。

ローマの後、イタリア各地を巡りヴェネツィアに到着した使節団は、吹きガラスの製作を見学し、その製法について記述した長い文章が残されています。

会場には15世紀末までにヴェネツィアで発展した最も特徴的な技術で「レトルト―リ」と呼ばれる繊維状のガラスを編み込んだとても繊細な装飾が施された<巡礼者のフィアスコ>と呼ばれる作品が出展されています。こちらも是非近くに寄って、じっくりと見てみて下さい。

出典:「遥かなるルネサンス」展覧会カタログ(巡礼者のフィアスコ)

 

ブリオンコルド協会に加盟している八王子のレストラン

八王子には、ヴィエトリ・スル・マーレでご紹介したブオンリコルド(Buon Ricordo)協会に加盟しているトラットリア カンパーニャというレストランがあります。

出典:トラットリア・カンパーニャ(店内の雰囲気)

そちらではディナーの「ブオンリコルドコース」を食べるか、シェフの修行先であったエミリア・ロマーナ州の伝統料理「タリアテッレ・アッラ・ボロニェーゼ(ボローニャ風ミートソース)」を食べるとプラス2000円でお皿を購入することができるそうです(コースはお皿込みの料金だそうです)。

出典:トラットリア・カンパーニャ(オリジナル絵皿)

今回、「本日のパスタ」で「パンチェッタとトマト」のパスタを頂きましたが、パスタもアルデンテで、非常においしかったです。周りの人たちはデザートも食べていましたが、あちこちから「おいしい」という声が聞こえていたので、次回は是非デザートも食べようと思います。お店の方たちも非常に感じがよく、イタリアの話で盛り上がってしまいました。店内には各地のブオンリコル協会加盟レストランのお皿でいっぱいでした。

 

基本情報

「遥かなるルネサンス」展は2017年12月3日までの開催です。

東京富士美術館へはJR八王子駅からバス「ひ02番(創価大正門・東京富士美術館行き)」などで約15分

Google mapを使うと「谷野町」で降りるように指示が出ますが、終点の「創価大正門・東京富士美術館」で降りた方が、美術館入り口には近いです。

キッズルームや無料でコーヒー、紅茶、お茶が飲める休憩室も有ります。

 

参考資料

東京富士美術館公式ホームページ

「遥かなるルネサンス」展覧会カタログ

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